ベーチェット病の新しい疾患感受性遺伝子と発症メカニズムを発見

横浜市立大学大学院医学研究科病態免疫制御内科学教室
石ヶ坪良明教授(厚生労働省ベーチェット病班研究代表者)

ベーチェット病(以下BD)の原因は不明ですが、HLA-B51などの遺伝子を持つ人はBDになりやすいことが報告されています。今回、新たに病気になりやすい4つの遺伝子①CCR1/CCR3、②STAT4、③KLRC4、④ERAP1の異常が発見されました。4つの遺伝子については、日本語訳がありませんので少し難しくなりますが簡単に説明します。①CCR1:BDの原因の一つとして細菌感染が考えられています。CCR1は、その細菌を排除する白血球を誘導するホルモンのレセプターです。結果として、CCR1の異常があると細菌の排除の低下のためにBDが発症する原因の一つと考えられます。②STAT4:BDでは、ヘルパーT細胞1型(Th1型)といわれるある種の免疫反応がみられます。STAT4は、Th1型の細胞の活性を高めることから、STAT4の異常がBDの原因の一つとして考えられます。③KLRC4に関しては、まだはっきりしたことはわかっていません。④ERAP1:今回の発見の肝というものです。HLA-B51には、他の細胞に抗原を提示する働きがあります。ERAP1は、その抗原をトリミングしてきれいにする働きがあります。したがって、ERAP1に異常があると免疫反応に異常が起きますが、HLA-B51が陽性で、さらにERAP1の異常がダブルで認められると、相乗効果といわれるような、単一の異常と比較して何倍もの異常が認められることがわかりました。今回の発見により、HLA-B51およびERAP1が関与する抗原提示機構が、今後のBD治療の開発に重要な標的であることがわかりました。


横浜市立大学発表掲載ページ

この解説文は、横浜市立大学の石ヶ坪先生にお願いしました。