ベーチェット病とは

ベーチェット病の概要

ベーチェット病とは、1937年にトルコのイスタンブール大学皮膚科教授ベーチェット(Hulusi Behcet)が報告した病気です。口腔内アフタ性潰瘍(口内炎)、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状の4つを主症状とした全身の炎症性疾患です。主症状の他に関節炎、副睾丸炎、腸管病変、神経病変、血管病変などの副症状があります。日本では厚生労働省ベーチェット病診断基準(1987年作成、2003年改定)により4つの主症状と5つの副症状の組み合わせによって、完全型、不全型、疑い例に分類されています。発症年齢は30歳前後が多く、長期にわたって憎悪と寛解を繰り返します。

世界的分布では、地中海諸国、中近東、中国、韓国、日本に多くみられます。シルクロードと一致していることからシルクロード病ともよばれています。日本では、東北・北海道に多く、西日本では少ない傾向にあります。

ベーチェット病の原因と遺伝

原因は現在も不明です。現在の仮説として有力なのは、体質的な遺伝に細菌やウイルスなどの感染病原体やその他の環境因子の組み合わせにより、白血球をはじめとした免疫系に異常が生じて強い炎症が起こり症状が現れるという考え方です。

日常生活で注意すること

急に体を冷やしたり、過労で疲れたりすると、症状が悪くなる傾向があります。季節の変わり目や寒冷前線の通過時、女性は月経前後を中心に、休養と保温を心がけるようにして下さい。

口腔内を衛生に保つことや虫歯や歯肉炎などを治療しておくことも重要です。これらの病態からしばしば悪化するとの研究結果もあります。但し、治療する時は症状が落ち着いている時が望ましく、ベーチェット病であることを担当医に必ず申告して下さい。

食事については、食べてはいけないものは特にありませんが、口腔内粘膜のアフタ性潰瘍(口内炎)が多発している時は刺激物など控えるようにして下さい。